このチュートリアルは武蔵野美術大学通信教育課程授業用に作成したものです。
今回はレーザーカッターで箱型のオブジェクトを作る方法を紹介します。
主にレーザーカッターは板状のオブジェクトを加工するための機械ですので、箱のような立体を作る場合は板を組み合わせて組付けをする必要があります。今回はオーソドックスな組み型である「あられ組み」をテーマにデータ作成していきます。
イメージを掴む
レーザー加工にあたって板材を選定する必要があります。板材の厚みによって設計の寸法も調整する必要がありますので、頭の中で全体のサイズや厚み、構成をイメージすることが大切です。
今回は50mm×50mm×50mmの外形を持ち、2.5mm厚のMDFボードを用いて箱を作ってゆきます。上記画像は、寸法は正しいですが、板材の組み合わせになっていないのでどのように組み付けるかはわかりませんね。今回は「あられ組」をしてゆきます。
上記が実際にレーザー加工し、組み上がった状態のイメージです。各面のつなぎ目部分に2.5mm(板の厚み)×10mmの切り欠き加工を行うことで組む位置をピッタリと合わせることが出来ます。
上図は板材を組み上げる構成のイメージです。同じ形の板が4枚(側面)と底面の1枚の計5枚で構成されています。側面の形を左右対称にしたい場合は別の切り欠きをしても良いですが、今回は歩留まりも考えて同じ形にしています。
設計する
Illustratorを使って設計していきます。
四角形ツールを使って50mm角の正方形を描画します。
幅を2.5mmにした長方形を描画し、正方形の左右に配置、更にもう一つを回転して下に配置します。これは実際に組み上げたときに側面のMDFボードの位置をイメージしやすいように作成しています。
オブジェクトをそれぞれ左右と下面に整列して配置します。わかりやすいように色を青にしました。
2.5mm×10mmのオブジェクト(画像緑)を5個作成します。(オブジェクトを1つ作成、altキーを押しながら下方向にドラッグすると複製できます。複製後⌘+Dで繰り返しコマンドにより5つ作成出来ます)回転ツールで下側にも複製します
緑のオブジェクトを移動し、左側に3つ、右側に2つのオブジェクトが来るように配置します。赤い正方形オブジェクトを複製し、下に配置します(こちらは底面のオブジェクトになります。)
底面は2つのオブジェクトが来るように配置し、青いオブジェクトは削除します。赤いオブジェクトから緑のオブジェクトで減算します。
必要なオブジェクトをすべて選択し、パスファインダーから「前面オブジェクトで切り抜き」コマンドで減算します。
側面の形が出来ました。
底面オブジェクトに関して、緑の四角オブジェクトを選択し、回転ツールをクリックします。赤い正方形の中心をクリックして回転軸を設定し、shift+altキーを押しながら90度回転させて複製してください。
4箇所に緑の長方形が配置されました。これで減算します。
無事パーツが出来上がりました。レーザーで加工するために必要な数を用意します。
側面の必要数を複製しました。この状態で加工を行えば問題ないのですが、左右の凹凸のパスや下面の凹凸のパスがオブジェクトごとに重複しているので、無駄に時間がかかってしまうため、整理します。
各オブジェクトがピッタリ合わさる位置まで移動します。このままでもパスは重複しているので片方の重複パスを削除してゆきます。
3面接しているオブジェクトをダブルクリックしてパスの編集を行います。ハサミツールを選択します。
上面2箇所のエッジと、下部右の2箇所を選択し、パスを切り離します。直線のパス以外を削除します。
わかりやすいように青の線にしました。この処理をすることで、レーザーの動きを少なくすることが出来ます。同様に右端のオブジェクトを処理します。
左側のエッジ2点を選択し、接しているパスを削除します。
これで無事パスが出来上がりました!あとはレーザー加工機の設定に合わせてパスの線幅や色を修正してください。
お疲れ様でした。