Genmitsu PROVerXL 4030 Z軸カスタム

PROVerXLはZ軸が何故かベースごと下がる仕組みになってます。スピンドルだけ下がる仕様なら、ある程度の角度のついたモデルなら刃長の短いエンドミルでも加工が可能なのに、ベースが下がってしまうとベース端面に素材が干渉してしまうので加工が出来ません。深い切削をするには刃長の長いエンドミルを使うしか無く芯ブレが起きやすいと思います。(エンドミルの長さごとにブロック固定位置を移動させれば解決する部分もあるが)今回も80mmのエンドミルで加工しているのですが比較的なだらかなモデルなので無駄に思えます。

PROVerXL 4030 V2はスピンドルが下がる仕様になっているぽいので、予算?剛性?切子カバー?何が要因かわかりませんがクリティカルな理由があるわけではなさそうです。なのでハックして仕様変更します!

Z軸ユニットは送りねじのブロックをX軸のプレートに固定してベースを下げる仕様になっており、ベースの背面が4080のアルミフレームになっていて、スロットにスピンドルブロックを固定する仕様になってます。

これはこれで、エンドミルの長さに合わせてスピンドルブロックを上下に調整出来るので良いのですが、ベースの素材干渉と比べたらそこまでメリットに感じません。まずはZ軸ユニットを外します。六角レンチがあればカンタンに外せますね。

ユニットを外したら前後を反転させて再度固定します。2080アルミフレームがX軸のプレートに固定されるイメージです。

こんな感じ。一旦リミットスイッチのことは忘れます。というのも、今回は動く部分が変わるのでこのままリミットスイッチが固定されているプレートが使えない(ややこしくなるし不可逆な加工が必要になる)ので別途3Dプリンタなどで対応しようと思います。

さて、X軸のプレートにアルミフレームの固定をするためにはプレートに穴あけ加工が必要です。規格寸法なので、60mm幅で印をつけてM5ネジが通るように穴を開けることにします。

固定先がアルミフレームなのでZ軸方向はある程度自由度があります。

穴あけ加工後、M5のネジで固定可能か確認します。5mmのドリルで加工しましたが、問題なくアルミフレームのスロットに固定できそうです。

プレート取り付けは皿ネジにすればネジ頭のサイズを気にしなくて良いので皿加工をします。

M5*10mmのステンレス皿ボルトで固定しました。六角穴付きが良かったけど手元にあったものでとりあえず作ります。これで背面がフラットになりました。

スピンドル用のブロックとの固定は別途アルミ板でマウントを制作する必要があります。Z軸の固定ブロックの取り付けネジ寸法はおよそ65mm*45mmでした。ブロック外形が78mm*65mmなのでピッタリ合わせるなら78*65のブロックを用意するのですが、Z軸方向に多少調整出来るようにしたい+ルーター固定ブロックにも対応させたい+外形加工が面倒なので規格サイズで対応したいという横着精神で、100mm*100mmのアルミブロックを加工することにします。

いつぞやにハンズで買った5052のアルミ板を持ってきました。こんなに厚くなくていいと思いますが、スピンドルブロックを固定する面はフラットにならないといけないので、皿ネジがハマるように加工する必要がありますのでその余地と、スピンドルブロックの固定ネジの長さに合わせるなら厚くても良いかもです。

3Dモデルを作り、寸法のミスが無いか、干渉するところが無いか確認します。赤いプレートが今回加工するものです。

カンタンな穴あけだったので、コピー用紙に印刷し、マスキングテープで留めてポンチ&ドリリングします。

ちょっと変な穴位置になってるのは、ルーター固定ブロックの穴位置を確保するため+上下に調整出来るようにいくつかネジ止め出来るようにしたかったからです。

ブロック取付部は皿ネジの加工をしています。

仮組みしてみたところ。概ね問題なさそうです。

そのままだと送りネジが表面に露出して切子がくっついてしまいそうなので防塵カバーも作っておこうと思います。3Dプリント出来るものを設計しましたが、アルミのプレートをそのまま送りネジのブロックに固定することができないので、スペーサーで高上げすることにします。

5mmのスペーサーで隙間を作り、カバーが入る余地を残します。

3Dモデルです。

既存のフレームは外しておきます。後入れナットなので緩めるとナットごと外れます。片側2点(防塵カバー留め)、片側4点(防塵カバー+リミットスイッチ留め)で使うので流用してもいいですが、今後元に戻す可能性も加味して手元にある先入れナットを入れておきました。(一回解体してます。)

カバー設置後にリミットスイッチの治具も設計しておきます。(画像深緑モデル)ナット1つでも保持できるようにアルミフレームのスリットにハマるように突起を追加したパーツを作成し、3Dプリントします

プレートはM5のネジを切り、サイドにリミットスイッチ用の突起を追加しました。M3のネジとスペーサーですが、円柱はうまくスイッチが機能しないかもしれないので問題が起きたら3Dプリンタで代替品を制作します。

組み上げが完了しました。リミットスイッチの位置を調整して各種ボルトを締め込みました。あとはマシンに取り付けるだけです。

無事取り付けられました!

これでスピンドルユニットのみ下がる仕様になり、材料への干渉を抑えられそうです!まだ実際の切削をしていないので、これから問題のある箇所がないか確認してゆきます!